試行錯誤と複数案
昔一緒にお仕事させていただいた映像ディレクターさんが「今日も寝てねー」と異様なハイテンションで雄叫んだあと、ぽつりと「学生時代なんて何度も何度も作り直しばっかりやってて完成したためしがないのに、今じゃ何が何でもカタチにできちゃう自分がすごいなぁ」とつぶやいていたのを、ふと思い出しました。
自分も学生時代8ミリフィルムで自主映画を作っていたヤツでした。同じようなものでした。何度も何度も作り直しては前に進まず...
納品日までに是が非でもカタチにできることは、仕事人としちゃ当然のことなんですですけね。学生時代のダメ人間だった自分を許せない&認めたくないがため、なんとしてもカタチにしないと!って意地になっちゃうかもです。
いまでもカタチにするまでの限られた時間で、試行錯誤だらけです。
ブレインストーム段階で、なんとなく、だんだんとイメージの輪郭を頭の中に浮かべていきます。
Photoshopに向かってイメージを具現化する段階では、「そうでない方がいい」というNGゾーンをつぎつぎと頭から追い出していきます。
そして「本当にこうあるべきなのか?」と自問自答しながら、あれこれ試行錯誤。
いくつかのデザイン案をプレゼンテーションすることは、お客様に選択する自由を与えながら、最終的なジャスト・チューニングをお客様のジャッジに委ねることになりますよね。
自分の場合、提案がいくつもあるのは、制作者の迷いをそのままお客様の前で広げてしまうように感じるのです。
決定する責任をお客様に委ねるのなら、「これがお勧めです」という範囲にあるものだけを提出するべき、と思うのです。
これはデザイナーさんによって、いろいろポリシーのあるところですよね。
考えつく限りのパターンを用意する方法。ある帰結点に向かうプロセスの途中段階を丁寧に見せていく方法。そして帰結点の微妙な範疇にあるものを見せる方法。決定打を完成形に近いカタチで見せる方法…などなど。
自分は制作過程で一度頭から追い出したNGイメージを、提案のバリエーションとして見せるのはどうなんだ?と考えちゃうんですよね。
でも、なぜダメなのかを分かってもらうため、NGゾーンから拾いあげた案をカタチにしないといけない時が多々あります。どれだけダメなのかを伝えるのにマウスを動かす時、ココロはダークサイドの住人となってしまいます。
比較して見せることで、一目瞭然となることは分かっています。
でもねぇ。理想としては、NG案の再現にかける時間を「本当にこうあるべきか」を追究する時間にあてたいわけです。
こう書くとわがままな若造デザイナーみたいですね(苦笑)若造ではない自分なので、実際は臨機応変に、ケース・バイ・ケースで葦のようにしなやかに風になびきながら対応しております。ぽきっと折れないようにね。
ある証券会社のCMで、選択枝がいくつもあると保守的なものを選ぶ傾向がある、という内容のものがありました。自分の経験からも、それはなかなか言い当たっているぞ、ビンゴ!とテレビに向かって人差し指を向けてしまいました。
written by TZK:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。


